■ ピンクリアランスの不良
iPod/iPhone用Dockケーブルの不良原因として、よく見受けられるのが
「ピンクリアランスの不良」です。(30pin端子の場合です。Lighitning端子は該当しません)
Dockケーブルを使用していて、音が途切れる等の症状が出た場合
ピンクリアランスが正常な状態に保たれているかどうか、確認をしてみましょう。
■ 正常なピンクリアランス
■ ピンクリアランスが潰れた状態 (異常)
バネ構造が伸びきってしまい、ピンクリアランスが失われた状態
(溝にピンがはまり込んでいる)
■ ピンクリアランスの作動と仕組み
iPod(iPhone)とDockケーブルの接点は、Dockケーブル先端に内蔵されている端子ピンが、板バネ状の働きをすることで、適切な接触圧力が保持される設計になっています。
端子ピンが正しい位置にあり、板バネの働きが正常であれば、Dockプラグを多少動かしても、動きに追従して接触が保たれるので問題ありませんが
端子ピンが奥まで押し込まれるような状態で長期間使用しますと、ピンが伸びきって元に戻らなくなる事があります。
結果として端子ピンが溝の奥に埋まった状態となり、接触不良が生じます。
このようなピンクリアランスの潰れは、簡単な作業によって回復可能な場合があります。
ご自分で修正する場合は、下記の修正方法をご参考下さい。
■ ピンクリアランスの修正手順
1.押しピンなど、針状の物を用意します。(画像参照)
2.針の先端を、端子ピンと溝の間に差し込みます。
3.針の太さの分だけ、端子ピンが押し下げられるので、具合を見ながらクリアランスを広げます。
この要領で、狭くなったクリアランスを広げます。
浅く差し込むと、狭めのクリアランスに、深く差し込むと、広いクリアランスになります。
一気にクリアランスを広げずに、徐々に広げて適正なクリアランスに調整しましょう。
針先がテーパー状になっている押しピンが使いやすいです。
(さほど難しくない作業ですが、無理に押し広げると、ピンが曲がったり折れたりすることも考えられますので、軽い力で丁寧に行うことをお勧めします)
(注意)
クリアランス調整が必要になるということは、端子に強い応力が加わった状態が長期間続いたということを示します
(例:iPhoneとポーターブルアンプを重ね置きし、シリコンバンドで固定して、ケーブルが鋭角に曲がる状態を常態化したなど)
このような状態は、ケーブルにも負荷(応力)が加わりますので、ケーブル本体の寿命を縮めることにもつながります。
また、ピンクリアランス修整は、何度も繰り返していると、ピンそのものが破断してしまう可能性も否定できません
ピンクリアランスの不良が発生したら、「簡単に修整できるからいいや!」と考えずに、ドックケーブルの黄色信号と捉え、ケーブルに力の加わらないよう、プレーヤーやポタアンの配置を工夫するなど、対策を講じることをお勧めします
■ 補足:Walkmanのドックケーブルの場合
「ピンクリアランスの潰れ」は、30ピン端子のiPod/iPhone用Dockケーブルに特有の症状です。
Walkman用のDockケーブルの場合では、この症例が起こることは稀ですが、全く発生しないわけではありません
ただ、Walkman用のDockケーブルの場合は、ドック側のピンに不具合が生じる前に、アンプ側のステレオミニジャックの方が、先にダメになります
Walkmanのドック側は、かなりしっかりした作りになっているのに対し、ステレオミニジャック側は、接点バネの力が比較的弱く、強い力を加え続けると、弾性限界を超えて塑性変形を起こし、バネが戻らなくなって接触不良が生じます(ドック側より、Smiin側のバネの方が弱いので、弱いほうが先に壊れるという理屈です)
詳しくは、下記の解説ページをご参照ください
● 関連ページ
トラブル事例 - アンプ側端子の不良
● 関連ページ
プレーヤーとポタアンは、重ね置きして大丈夫?